02.02.2022 | メディアの報道

無反動ハンマーのロボットチームワーク

PB Swiss Toolsはエメンタールで世界市場に向けた高品質ツールと医療機器を製造しています。プロセスの効率と品質をさらに向上させるために、当社は自動化ソリューションにも投資しています。そのようにしてPB Swiss Toolsはごく最近、最初のスイス企業としてABBのIRB 1300を取得し、更に別のロボットを独自にOmniCore生産セルに組み込みました。

PB Swiss Toolsのハンドツールを人が住む全ての大陸でプロが使用しています。その品質は信じがたいほどです。材料と製造の欠陥についてこの伝統的な企業は耐用年数にわたる保証を提供します。各ツールに付いているシリアル番号のおかげで、生産工程全体を使用した原材料まで遡ってたどることができます。これは医療機器に必須の前提条件です。

独自の拠点での大規模な垂直統合
エメンタールの2拠点、ヴァーゼンとズミスヴァルトでのみ生産しています。その垂直統合は大規模です。正真正銘の「スイスメイド」。例えば特別に硬化させた特殊鋼製のロッドやプラスチックペレットなどの供給原材料からPB Swiss Toolsは全てを自社の現場で製造します。ツール用の部品を製造するために、金属とプラスチックの加工および電気めっき用の広大なハイテクマシンパークが対応します。

ツールの生産だけでもABBのロボット17台を使用しています。「当社はお客様のために新製品を継続して開発し、既存の製造プロセスも改善して、コストが安価な国々の競争相手に対する競争力を確実にしています」と、PB Swiss ToolsのCEOエヴァ・ヤイスリは語っています。ツールを多様なバリエーションで生産しているため、製造において可能な限り広い柔軟性を確保することもまた重要です。作業工程の自動化は、スイスの生産拠点から離れないことに貢献し、成長を全従業員においても可能にします。ヤイスリによれば、「8年前よりも今日では明らかに多くの従業員を雇用しています」とのことです。

可動分銅で無反動
PB Swiss Toolsのベストセラーには無反動ハンマーが挙げられます。ハンマーヘッドにはめ込まれた可動分銅が共振して、反動なしに十分で正確な打撃を可能にします。「そのために当社ではスチール製のワッシャーを使用しています。そのワッシャーは留めピン上に動かないように並べられ、ハンマーヘッド内にあります」と、PB Swiss Toolsで既に35年間働いている技術部門のプロジェクトマネジャー、ハインツ・コーベルは説明しています。


新型OmniCoreロボットセルのそばに立つハインツ・コーベル。

「この生産工程をこれまではロボットを用いて半自動化していました。製造スピードを高め、かつ精度を向上させるために、新型ロボットセルを自動化製造用に構築することを決めました」と、コーベルは語ります。ハインツ・コーベルのチームはロボットを独自に一体化してプログラミングしています。 

2種類の新型ABBロボットをセルに一体化
新型セル用に2種類の新型操作ロボットを評価し、そのセルでは既存の溶接ロボットをその個々のセルに追加しています。「私たちの好ましい経験に基づいて、そのために再びABBを利用しました」と、コーベルは語ります。「ABBはそのポートフォリオから2種類の新型ロボットを提案しました。IRB 1100とIRB 1300です。その利点に納得させられました」。


IRB 1100は供給されたワッシャーを正確に配置する。

2020年に発表されたIRB 1300は、以前のモデルのIRB 1600よりも高速で、はるかに軽量です。そして最大11 kgまでの負荷容量をもたらします。2018年末に市販されたIRB 1100は、今ではABBの最も小型かつ軽量の6軸ロボットです。IRB 1100はIRB 120の後継モデルです。両方とも新型で小型のABB制御OmniCoreで稼働し、最高の経路精度を提供します。

スイスにおける最初の純粋なOmniCoreロボットセル
「PB Swiss Toolsはスイスにおける最初の顧客としてIRB 1300を取得し、また最初の純粋なOmniCoreロボットセルを実現しました」と、ABBの担当販売エンジニア、オリバー・ケックは語っています。「PB Swiss Toolsがイノベーションを新規ツールの開発のみに置くのではなく、製造の最適化においてもまた先駆者に属していることを示しています。」両方のロボットを用いるこの新型OmniCoreセルもまた、ハインツ・コーベルのチームが2021年春に独自に一体化し、特にABBのシミュレーションソフトウェアRobotstudioを使用してプログラミングしました。

セル内の2台のロボットのうちより小型のIRB 1100は、器用な繊細加工機です。その任務は、自動的に供給されたワッシャーを把持して正確に配置することです。そのためにこのロボットチームにおいて広範囲のオールラウンダーであるIRB 1300はハンマーヘッド下部を配置し、その下部を事前にセンサーであらゆる場合に障害となるスチール片について点検します。IRB 1100はその真空クランプを用いて最初にピンを差し込み、次いでワッシャーを1個ずつ積み上げます。


2種類の新規ABBロボットが協働してクランプします。

溶接システムおよび旋盤用の操作でも
ロボットが正しい個数のワッシャーを設置した後、IRB 1300はハウジングのヘッド部分を上に載せ、ハンマーヘッドを溶接システムに置いて両方の部分を固着して接続させます。ロボットはハンマーヘッドを冷却するためにすぐに離し、次いでCNC旋盤に置き、そこで溶接シームを削って仕上げます。

IRB 1300はその後ハンマーヘッドを更に隣接するセルへと渡します。そのセルには、2番目の溶接システムで既に長い間使用されてきたABBのIRB 1600が置かれています。そこではハンドルホルダーと溶接されます。全てを処理し、3台のロボットが完全に自動化されています。

7種類の異なるサイズを製造
無反動ハンマーについてPB Swiss Toolsは7種類の異なるサイズで、合計で年間約80,000個を生産しています。.セルを別のサイズで変更するとき、通常週1回ですが、45分間かかります


無反動ハンマーの内部機構が見えています。

「この新規セルを用いて当社の目標を達成しました。より高性能のハンマーをより速く製造できます。そして特に新型ABBロボットは極めて正確かつ信頼性高く動作します」と、コーベルは語っています。゙「安全性と品質は、例えば、航空機生産または自動車産業で使用されるこのツールでは最優先です」。

Share this article
Share Tweet Share Email
Visit
マガジンINSIDEの定期購読